開催報告2022年10月29日 なりきり朗読劇クラブ #24

今回取り上げた作品は2015年公開の《我的少女時代》という1990年代の台湾の高校生の青春を描いた作品です。

今回は読み手枠とリスナー枠におひとりずつという少人数の開催となりました。

少人数には少人数のよさがあります。また今回は主催者を含め、中国語の学習歴、現地滞在歴が共に比較的長めのメンバーだったので、じっくりそれぞれの中国語との関わりを聞くことができました。

久しぶりの台湾素材で実は内心ドキドキでした。                               私は台湾でゼロから中国語を始めたので台湾華語が私の中でのスタンダードですが、日本で中国語学習を始められた方のほとんどは大陸の「普通話」がスタンダードなので、今回のスクリプトでは「台湾華語」特有の読み方や語彙などについて細かく解説をいたしました。(最近は台湾華語から中国語学習をスタートさせる人も増えていて地味にうれしい)

発音に関しては一番有名なことは台湾では一般に「そり舌音(zh/ch/sh/r)」は舌があんまり反っていないこと。特にzhi/chi/shiの時はzi/ci/siになりがちです。でもこの現象は台湾独特というよりは大陸でも実は割とよく聞く現象です(一般的には南方ではあまり反らないといいますが、南方でなくても地方出身者で舌が反ってないなぁというケースはまぁよくあるよねということで3人の意見は一致しました)

次によく言われるのは軽声が少ないこと。軽声は台湾華語においてホントに少なくて今回のヒロインのセリフにも出てきました。

「我們說沒關係(guānxī),就是有關係(我们说没关系,就是有关系)」

大陸の普通語では「guān xì」の「xì」が「xi」と軽声化するのですが、台湾だと「guān xì」 が軽声にはならず、慣例的に「guānxī」 と最後までしっかりのばして読みます。慣れないと気持ち悪いかもしれませんが、私などは軽声になる方が気持ち悪かったクチです。でもここ数年、仕事の関係で大陸の人たちと話すことが増えるにつれて軽声読みの方が心地よくなったりもします。人間、なにごとも「慣れ」でございます(笑)

それから「譬如(pì rú)」は、台湾教育部の辞書でも読み方は「pì rú」となっていますが、口語会話だと「pǐ rú」と発音されています。

ほかにも台湾華語の特徴としては語尾に「啊」「哦」「呢」など語調をやわらげたり、表情をつける「語気詞」が多用されることなどもお話ししました。

語彙でちょっと特殊だったのは「假掰(geibai)」。                              意味は「カッコつけている、キザ、~ぶっている、わざとらしい」といった意味合いで使われます。     「假(gei)」は方言である台湾語由来の発音、「掰(bai)」は台湾華語の発音がミックスされた造語だそうです。この映画の設定は90年代ですが、ちょうど30年くらい前から若い人たちの間で使われ始めたそうです。でも、私の台湾華語の先生(50代後半)は日常的には使わないそうです。                  

日本語でも年代によって根付いていることば、そうでないことばってありますよね。例えば「マジ」ということばは出てきたばかりの頃は中高生がイキがって使っていたのが、徐々に各年齢層に浸透して今は割と普通に使われているようなことば。でも「マジ」もある一定の年齢層以上になると馴染まないので自分では使わないという人も多いかと思います。

今回のセリフはこれまでのアンケートなどで「ふだんあまり怒ったりするような場面で中国語を使うことがないので穏やかな場面をやってみたい」という声にお応えして選んでみたのですが、穏やかなシーンって実は感情表現が難しいんですよね。今回のシーンも「間接キス」ならぬ「間接告白」みたいなシーンでしたから。そんなヒロインJK林真心の内なるキュンキュンをうまく表現して下さったhikokoさん、リスナーなのに読み手としてヒロインが徐々に心を寄せていく学校の問題児、徐太宇のセリフに挑戦して下さったかなこさん、ありがとうございました!

個人的にはやはりもっと登場人物が泣いたりわめいたり波乱がないとやはり落ち着かない(意味不明)。次回は激しくいきたいです。

この記事を書いた人

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みどり

中国語発音指導士 中国語学習サポーター 中国語通訳案内士

台湾で16年間中国語を学びました。
語学教材CDの音声吹き込みのバイト経験あり。
音読大好き。演技派。
オンライン中国語音読サロン「なりきり朗読劇クラブ」が大好評。
メールアドレス:midori55shonanbs@gmail.com

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