2018年11月18日(日)に中国語音読サークル玲瓏りんろんで第1回「なんちゃって朗読劇クラブ」を開催しました。
中国語音読サークル玲瓏りんろんは普段、月一回の頻度で私と井田綾さんとで中国語の音読お茶会をオンラインで開催していますが、今回の「なんちゃって朗読劇クラブ」はその活動の中から「セリフ音読」に特化したものを作りたいという主催者と参加者さんたちの願いから生まれました。
「朗読劇」というとなんだかものすごく本格的な感じがしてしまうかなって自分には思えてしまったので、少しでも敷居を下げたいという思いと、「今はまだ講師の私もこの程度だけど、気軽に楽しく参加するうちに参加者さんたちと共に進化していけたら」という願いと謙遜も込めて「なんちゃって朗読劇クラブ」と命名しました。
さて、この「なんちゃって朗読劇クラブ」、告知からイベント開催日までたいして日にちがなかったのにも関わらず、3日ほどで満員御礼!
中国語でセリフを読みたい人・聴きたい人がこんなに世の中にはいるものなんですね ♪
課題作品
この日読んだ課題作品は中国残留孤児をテーマにした山崎豊子原作の「大地の子」第一部『初恋』の部分。
主人公の陸一心が大学を卒業したタイミングで結婚の約束をした恋人丹青に自分は実は日本人の子であるという出自を明かすシーン。成績優秀で前途洋々だと信じて疑わず、結婚までするつもりでいた恋人が、よりにもよって戦争で大きな傷を中国に残した憎むべき日本人だと知った丹青はショックのあまり一心を激しく責め、絶対に許さないと怒りの言葉を一心に投げつける。というくだりです。
参加者とゲスト講師
今回はゲスト講師として、りんろんのお茶会や講座にも複数回参加してくださった中国瀋陽在住のちゃーちゃんさんにお越しいただきました。
セリフ音読枠で参加してくれたのはNanaさん、れんもくさん、ぽんさんの3人。
リスナー枠は名古屋で中国語勉強会をしているめいこさん、唐詩LOVERで和服を解いて作った素敵なチャイナ服がトレードマークの亜貴さん、大分で公務員をしながら中国語を学び、防災士の資格もお持ちのゆうさん、韓国ソウル在住の韓国語通訳・翻訳者のKAORIさん、駆け出しの中国語映像翻訳者のxiangさんの5人。
KAORIさんは中国語クラスタではなく、韓国語通訳・翻訳をされている方ですが、以前少し中国語を勉強された背景があることや、外国語で朗読劇というイベントに興味を持って参加してくださいました。xiangさんはなんと当日出先の新宿家電量販店からZoomのリンクに繋いで聴いてくださいました。
参加者×参加者
イベントはまずセリフ音読枠で参加してくださった3人の方で一心と丹青をシーンごとに読んで演じていただきました。みなさん人前で外国語で朗読劇をしようと思うわけですから基本的に発音はばっちりです。
明瞭で切れのある発音が持ち味のNanaさんは活動的で気性の激しい丹青役がぴったり。
通訳スクールで研鑽を重ねていらっしゃるぽんさんは深みのある声で一心のセリフに感情をのせて読んでくださったのがとても印象的でした。
演劇など舞台関係に明るいれんもくさんはさすがの観察力といいましょうか、全体的には抑え気味の演技なのですが、聴けば聴くほど引き込まれる声の使い手でした。
読んだ後のご感想を3人に伺ったらみなさん、読み間違いや途中詰まってしまったことが相当悔しそうでしたが、感情をのせて中国語を読めること、そして、一人ではなく誰かと一緒にセリフを読めることがとても楽しそうでした。
講師×講師
ひと通り参加者さん同士の組み合わせで読み終わった後、いよいよ講師2人の登場です。
講師役のちゃーちゃんさんが一心、私が丹青で最初から最後まで一気に読みました。
実はちゃーちゃんさんには事前にお手合わせをしてもらっていて、2人でいろんな一心と丹青を演じ分けたりしていましたが、最終的にはちゃーちゃんさんが一心、私が丹青で行くことに決まりました。
演技力に定評のあるちゃーちゃんさんに持っていかれないよう私は必死(゚Д゚;)
イベント当日の出来はこれまでで一番良かった!と思ったのですが、あとで録音を聴くと自分の余裕のなさや声が浮足立ちすぎて発音が甘くなっていることなど反省材料ばかり。これでは発音講師の名が廃りますね。
百点満点ではないのが恥ずかしいのですが、一応講師の演技は公開すると決めていたので、よろしければどうぞお聴きください。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓(ちゃーちゃん一心×みどり丹青バージョン)
めいこさんが「みどりさんの丹青の声が普段自分が見聞きしている女子大生の声そのものですごく可愛かったです!」と言ってくださったのが大きな慰めになりました(ありがとう、めいこさん!)
でも、冷静に考えてみれば音読参加者の方たちはぶっつけ本番で知らない人とセリフを読み合ってたわけですからそちらの方が絶対に大変ですよね。みなさん本当にえら~~い。すご~~い!
参加者×講師
このあと、音読希望者の方にどちらかの講師を指名してもらって読みました。二度目三度目になるとセリフ回しもこなれてきて参加者さんたちも本領を発揮してきます。
中でも特筆すべきは、れんもくさんの丹青とちゃーちゃんさんの一心の組み合わせ。
れんもくさんが一同から歓声というか溜息がもれてしまうほど可憐な丹青を演じてくださり、一心を演じたちゃーちゃんさんも思わず「抱きしめたくなった」と言うほどでした。
最後にNanaさんからの提案で、リスナー枠の中から希望者を募って講師と組んで読むことになり、ゆうさんが手を挙げてくださいました。
ゆうさんは今回の参加者の中で唯一の男性ということもあり、一心役をお願いし、ちゃーちゃんさんが丹青を演じてくれました。
読み始めてみると、ゆうさんもあららお上手!
リスナー枠で参加はされていましたが、いつ指名されても困らないように練習していたに違いない!と皆さんからは指摘されていましたがどうでしょうか?(^-^)
みなさんの感想
会の中でも事後にお寄せいただいたアンケートにも「楽しかった・満足した」というお言葉を参加者全員から頂きました。
一部抜粋となりますが、このような声をお寄せいただきましたので、以下にご紹介させていただきます。
「楽しくて勉強になる、素敵な場を設けてくださってありがとうございます! また参加させていただきたいと思います。朗読も素晴らしかったです。参加前は「なんちゃって」はいらないのでは?と思っていたのですが、求める理想が高いゆえだとわかりました。」
「普段出会えない方たちと交流でき嬉しかったです。」
「素晴らしい経験になりました。新たな中国語の楽しみを見つけました。ありがとうございます!」
「この日の為にみどり先生やちゃーちゃんさん、他の皆さんがものすごい練習をして来た事が分かるくらい情熱的な音読でした。 皆さんの感情表現の豊かさにビックリです!特にみどり先生とちゃーちゃんさんお二人の朗読は圧巻でした!物語に引き込まれて、Take3の後半はジーンとなり涙が出そうでした。… 今日はとても勉強になった午後でした。私も勇気を出して感情表現を磨いていきたいです!ステキな企画、本当にありがとうございました!」
「とても楽しかった。いつものように、頑張った自分を発表する場所も欲しいけど、せっかくみんなが集まるなら、今回のように一人では出来ない事もやりたいです。」
「こういう場所はなかなかないので、運営は難しいと思いますが、ぜひ続けていってほしいと思います」
まとめ
やってみた感想としては、中国語学習者のみなさんの中にはこうして学習者同士が集まって切磋琢磨する「場」をとても求めているということがよくわかりました。
習った中国語に自分の感情をのせて読むことで学びと記憶がより一層深まることも実感していただけたかと思います。相手がいることで言葉の音量や「圧」、「間」のコントロールなども必要になってきます。
語学学習は検定試験とかももちろんモチベーションアップにつながりますが、生きた言葉を体得するにはこうした「朗読劇」という手法は非常に有効な手段となり得るという確信を得ることができました。映画やドラマを受動的に見るだけでなく、自分も演じてみるってとっても楽しいです!
中国語学習の新たな楽しみの発見!とまで仰って下さった方もいて、主催者としては本当にうれしかったです。
次回以降もまた企画でき次第、お知らせします!