韓日中のリレー通訳が楽しかった!~語学が使えると世界が広がる

先日、とある展示会にマッチング通訳という業務で呼ばれました。これは展示会に来ているVIPバイヤーのお客様付で商談通訳を行うというもの。これまでは出展者ブース付の通訳のみだったので、私も初めての体験でした。このマッチング通訳は展示会の主催者が来場者の満足度向上のために提供しているサービスなのでこの業務に当たる通訳者は全員トランシーバーを持たされて、通訳を必要としているお客様がいたら呼び出されるというシステム。マッチング通訳者は腕章とトランシーバーを身に着けているので「いかにも仕事してます」風な感じでちょっと目立ちます。(写真撮っておけばよかったかも)

さて今回、マッチング通訳をしていた中で一番面白かったのが「韓日中のリレー通訳」です。

どういうことかと簡単にいうと、韓国人バイヤーのお客様が中国の製造業者ブースの商品に目をつけていて話を聞きたいというオーダーがありまして、韓国語⇔中国語の通訳者がいれば私に声がかかることはなかったのですが、その時はたまたまそのような人材が出払っていたため、韓国語通訳者Aさんと中国語通訳者の私の2人体制でその韓国人バイヤーの方の商談通訳をすることになったわけです。(実際にはこれにもう一人、「暇だから一緒についていきたい!」と別の韓国語⇔日本語通訳者Bさんも同行)

目的の中国の業者ブースに着くと一応そこにも日本語ができるスタッフがいたので、「あら?これなら私の出番はないかも・・・」と引き返そうとしたらそのスタッフが「わー!やっぱりいてちょうだい!」と言うのでそのまま残ることにしました。

通訳の順序としては

①韓国人バイヤーさんが韓国語で話す

②韓国語通訳者Aさんが上記を日本語に訳す

③Aさんの日本語を私が中国語に訳す

④中国出展者がその回答を中国語で返す

となり、④まで行ったらその逆の順をたどって①へと戻ります。

 

興味深かったのはそれぞれのノートテイキングの仕方。

一番丁寧で文字も端正だったのが①の韓国人バイヤーの男性。方眼ノートに知りたいことのポイントのみを順序だてて書いている様子。

次に見やすいのが②韓国語通訳者Aさん。文字もきれいだし、順序が混ざらないようにメモしている。

一番わかりにくいノートが③の私。キーワードをガンガン書きつけて紙全体を使って縦横無尽。自分にしか到底わからない。ちょっと恥ずかしかった。

④の中国出展者に至ってはメモすら取らない。想定内の内容なんでしょう。きっと頭に全部入っているのね!さすが!

そんなノートの汚い私ですが、商談の中盤までは中国ブースの人に日本人だってバレていなかったようです。別に隠してもいなかったので「え?今頃気づいた?」みたいなところはありましたが、これもきちんと身に着けたクセのないクリアな発音のおかげでしょうか?通訳で最も大切なことは相手の言っていることを正しく訳出して伝えることですが、せっかく訳したものが発音や声調の曖昧さ・不正確さで誤解されたら意味がありません。美しい発音はまさに一生モノ。お仕事で中国語を使うことのある人ほど発音の基本に立ち返ってみることをお勧めいたします。ある程度話せるようになってくると発音がおろそかになってくる傾向があります。自分の発音が相手に安心感を与えられるレベルかどうか自分の声を録音するなどしてチェックすることは語学のレベルアップには大変有効です。(と、めずらしく発音講師らしいこと書いてみる)

 

リレー通訳はベテランの韓国人通訳者Aさんが落ち着いて仕切ってくださったので、安心して集中できました。こういう時ベテランさんがいてくれると私のような小心者は安心できます。バイヤーも製造者もやり取りは真剣そのもの。バイヤー側はいいかげんな品質のものを掴まされるわけにはいかないので検品体制や検品項目、証明書発行にいたるまでとにかくチェックが細かい。そんな厳しいバイヤー側の求めにも嫌な顔一つせずに持てる資料をすべて出してきて相手の不安を払拭しようと懸命に説明する中国の出展者の姿に韓国人通訳のBさんは「感動した!」と言っていました。商売をするのに相互不信のままでは話がなかなか進まないですもんね。話には聞いていましたが、中国のものづくりのレベルが昔と違って非常に高いレベルに達していて、それだけ厳しい競争にさらされていることを伺わせる現場でした。

韓国語通訳者Bさんには通訳が終わった後に随分ねぎらって頂いたのですが、こうやって隣国同士が仲良くできる場は本当にありがたいです。

言語をつなぐことで見えてくる互いの商習慣や着眼点の違い。今回は中国語のほかに韓国語も絡んできたことによってより豊かな世界を感じることができました。やっぱり語学ができるとこんな現場に居合わすチャンスがあっておもしろい!